■有害性の感知だけではない
有害性の感知による負の感情の発生は「悩む」が生まれる一要件ではあるが、イコール「悩む」になっていくのは問題を解決する手立てが見いだせないという状況に至ったときだ。
「出口がない」という感覚が、さらに焦りを呼び、不安感を募らせていく。
こうした負のスパイラルが始まったとき、「考える」は、負の感情の完全な支配下に入り、深い「悩む」へと変質を遂げていくことになる。
「悩む」の発生パターンはこれだけにとどまらない。
問題解決とは、単に策を見出せばいいのではなく、実行に移して初めて実現されるものであり、問題解決策がある程度見えている場合でも、出口が見えず、負の感情が発生することは、しばしば起こりうるからである。
●1つ目は、選択に際して生じる「悩む」である。
複数の選択肢から1つを選ぶことを求められながら、それができず、そうこうしているうちに、思考の迷路から抜け出せなくパターンである。
決めなければいけない。
でも決められない。
いたずらに時間だけが経過し、迷いや不安などの負の感情が増幅していくことになる。
●2つ目は、解決策自体は定まったのに、いざ実行というところで生じる「悩む」である。
十分に考え、ベストを選択であることはよく分かっている。
でも、もし実行して失敗したらどうなってしまうのか・・・・・・。
その不安感にとらわれた結果、再び悩みの迷宮に舞い戻ってしまうのである。
●「悩みやすさ」には個人差がある。
上司から怒鳴られることは誰にとっても楽しいことではないが、それでも全然気にしない人もいれば、心を病むほど悩んでしまう人もいる。
この差を生むのは、一言でいえば「思考のあり方の差異」である。
起きた現実が同じでも、それをどう理解し、評価するか。
そのあり方如何で、悩みやすさは大きく変わってくる。
一般的に言って、まじめで厳格な人(「すべき思考」をしやすい)、せっかちな人、決め付けをする人(「性急な結論でづけ」をしやすい)、心配性の人(不安の自己増殖をさせやすい)などが、悩みを抱えやすい代表的なタイプということになる。
●施策発見力が不足している人。
施策発見力が不足している人に見られる現象の1つは、問題を「分けて考えることが非常に苦手」ということだ。
「会社を辞めたい」といった相談や若い人からよく受けることがあるが、仕事内容、給料、上司への不満などがグチャグチャに入り混じっていて、聞けば聞くほど辞める理由が分からなくなる。
辞めることの当否も判断がつかず、今後の方向性を正しく見極められることなどできるはずがない。
もう1つの共通現象は「解決策の幅をあらかじめ限定している」ことである。
例えば「会社を辞めたい」の例で言えば、すでに「辞める=解決策」と勝手に決め込んで相談にくるというケースが非常に多い。
他部署への異動を願いでれば済むような場合もかなりあるが、本人の中ではそれは「ありえない」と否定されており、辞めることだけが唯一の解決策となっているのである。
とりわけ人生経験の少ない人、常識にとらわれやすい人などは、この「解決策の幅の限定」に陥りやすいように思える。
●切り替える力が不足している人
世の中には、どんなに必死に解決策を探しても、どうにもならないこともある。
たとえば「過去に起きたこと」である。
今さらどうにもならないと知りつつ、私たちはさまざまに思い悩む。
あるいは他人の気持ちなどというのも、本来、「どうにもならないもの」だが、私たちはそれをいたずらに気にして日々を過ごしている。
悩みを抱えやすい人とそうでない人を比較したとき、決定的に違うのは、この「どうにもならない」に出合ったときの反応である。
抱えにくい人の場合、すばやく頭を切り替え、次のことを考えようとするが、抱えやすい人の場合、頭を切り替えられず、クヨクヨとそのことを考え続けてしまう。
考えたとて、どうにもならないことを考えるので、さらに悩みの迷宮に入りこんでしまうのである。
●選択する力が不足している人
「会社に残るのは嫌だが、転職も独立も不安だ。でも会社は嫌だ・・・・・・。」のように、選択ができず、悩みに陥っていくタイプの人たちの思考にも、やはり共通性のようなものが感じられる。
1つは「選択への耐性がない」という点である。
トレードオフ(一方をとると他方を失うという、両立しえない関係)の状況下では、何かを選ぶことは、それ以外の可能性を捨てることである。
人生経験が少なく、この「捨てる」というシビアな行為に慣れていない人にとって、それは相当に困難な行為となる。
■ホーライ製薬(架空の製薬会社)
http://horaiseiyaku.seesaa.net/
■医薬品ができるまで
http://chiken-imod.seesaa.net/
■ホーライのブログ集
http://knowledge-forest.seesaa.net/
■ハードボイルド・ワンダーランド日記
http://hard-wonder.seesaa.net/
PR